「今週、妻が浮気します」。ネット掲示板から生まれた物語が書籍化って。あまりにも分かりやすい二匹目のどじょうでびっくりしますね。
『電車男』のときにも「掲示板から生まれた物語」って言ってたじゃないですか、でも本当にそれは物語なのか?という疑問がどうしてもあります。僕らがそのときその掲示板で、ぐっと入り込んだのは、その物語性にではなくって、「何かが起ころうとしている場に立ち会う」ということの新しいリアリティによってでしょう?
北海道に住む人間が、沖縄で暮らす人が、東京で起こる事件にもリアルタイムで立ち会うことができる。擬似的な参加ではなくって、まったき現実感とともに。居合わせた者同士で感嘆符を共有できるのならば、物理的にその土地に集まる必要なんてなかったのだと僕らは気づき始めた。
そういうリアリティを獲得した時代だということの証左なんだろうと思うわけです、2chなりで盛り上がるってのは。それこそが「物語」なんだという意見もあろうけれどね。
気持ち悪いこと言うてる?
だからそれは本になった頃には意味を失うものなのでは。『電車男』は売り方が上手かったんでアレですが、二匹目は売れるのかどうか。