藤沢周
藤沢周プロフィール&ガイド
藤沢周(ふじさわしゅう)―1959年生まれ(65歳)。新潟県西蒲原郡内野町(現・新潟市)出身。小説家。
1993年「ゾーンを左に曲がれ」(「死亡遊戯」と改題)でデビュー。
1998年『ブエノスアイレス午前零時』で第119回芥川賞受賞。
くすぶる都会の火種という文体で一貫。最近は新潟弁も駆使するのですがやっぱり現代的。初めて手に取るなら芥川賞受賞作『ブエノスアイレス午前零時』となりがちだが「あれ?」とうまくはまれないかもしれないので、小説を読む喜びを味わわせてくれた『サイゴン・ピックアップ』をまず第一のオススメとして挙げておきます。怒りを怒りとして表明しないのがダンディズムです。
関連作家・似てるかも作家:平野啓一郎 若林正恭 中村文則 村上龍 村田沙耶香 辺見じゅん 福澤徹三 荒川洋治 木山捷平 伊藤比呂美
藤沢周おすすめ本ベスト5
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故郷新潟の地上げをするべく飛ばされた男。実質的なリストラへの遠い海鳴りみたいな怒りと、趣味以上の腕の三味線が人間関係を複雑にして。最後まで続く曇天に、何より雪と波濤を舞わせる三味線の音色描写がすごい。文学(小説)
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二人のタクシードライバーが互いの車を交換して他人として走る。精神安定剤や離婚届が同乗しなくともそこは苛立ちと倦怠が充満する箱だ。自分以外誰もいない渋滞。暴走の予感を孕む文章の向こうに重い手応えがある。文学(小説)
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借金取りから身を隠すために仏門に入った男は俗塵にまみれたまま宿命に連れ去られる。地雷型の玩具がランダムに暗示を吐き出す、まっすぐ進め、そいつを殴れ。オリエンタル好きの外国人向けみたいだがカッコイイよ。文学(小説)
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失業者の苛立ちを描いた表題作と、前後不覚の幻想生活「事情聴取」がイカす短編集。これまで内面をあえて排除する作家なのかと思っていたが、ここではキリキリと胃痛のような精神活動がある。新潟弁もどこか新鮮だ。文学(小説)
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すれ違う他人に次々カメラが渡されていく連作短編だが全部同じ人間に見える。誰だって焦げた執着を抱えて鏡に唾吐いてるからな。円環にすることで出口さえ奪う非情さで「持て余された自分」の向き先を教えてくれる。文学(小説)
藤沢周レビュー一覧(31冊)
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剣道と禅。部活動にいそしむ青春小説という軸と、時代物みたいな生死を切り裂く剣先、なんというかバガボンド? 藤沢周の倦んだ世界観には合致しててソソるが、普通の剣豪小説に見えてしまうのが弱みといえば弱み。文学(小説)
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葬儀ディレクターが主人公の黒い長編。病院との癒着、死体のビジネス、生と死の狭間で倒錯した自殺クラブ。俗情に硬化するしこりが鬱々と積もってゆく、この重苦しさは著者いつもの味で、終盤の怒涛まで緊張が続く。文学(小説)
藤沢周の新刊・近刊
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2024-08-06河出書房新社 河出文庫[内容紹介 詳細] 舞台は世阿弥最後の地・佐渡島。 単行本刊行時、各メディアで話題となった奇蹟の物語が待望の文庫化! 「花なる美は、十万世界...
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