シドニーのグリーン・ストリートは前にも言ったように、シドニーでもいちばんしけた通りである。ひょっとしたら南半球でもいちばんしけた通りかもしれない。
「シドニーのグリーン・ストリート」より。最近出た「はじめての文学」というアンソロジーにも収録された短編です。
映画俳優にシドニー・グリーンストリートという人がいて、そこから来ている(推測)だけで、実際にグリーン・ストリートという通りがシドニーにあるわけじゃないんですよね。たぶん。もちろんこの短編においてはそんなことはどうでもよくって、南半球でいちばんしけた通りを想像してもらえればそれでいいんでしょうけれど。
『中国行きのスロウ・ボート』は静かな緊張感に満ちた作品の多い(ので大好きな)短編集だけれど、その最後に置かれているこの短編だけずいぶん雰囲気が明るいです。
掲載日:2007-01-07